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防犯標語「いかのおすし」誕生裏話

 令和元年9月27日朝日新聞朝刊の生活面にて本学の学長若林の記事が掲載されました。若林は子どもたちを不審者から守るための防犯標語「いかのおすし(行かない、乗らない、大声を出す、すぐ逃げる、知らせる)」の発案者です。誕生から17年、今では全国に広まった「いかのおすし」、その誕生裏話を公開します。

(以下本文)

 この標語は都庁29階で生まれました。
 時は平成14年、小学生の誘拐殺人事件が起こり社会問題となっていました。その頃の学校では、交通事故や火事などから身を守る学習はありましたが、不審者から身を守る学習はありませんでした。そこで、当時、東京都教育委員会で生活指導の担当であった私は、子どもたちの安全を守るべく、東京都中の全ての小学校1300校で、不審者対応の学習を実施することにしました。講師を防犯の専門家である警察官に依頼しました。私は小学校の教員の経験がありましたので、講師をしてくれる警視庁の女性警察官を都庁にお呼びし、指導案を作成しました。女性警察官は伝えたいのはとにかく「いかない~知らせる」の5点ということ、しかしこのまま教えても子どもたちの心には残りません。
 そこで、文字を抜き出して短い標語風にしようと考えたのですが、子どもたちが簡単に覚えられ、忘れられない言葉にはなかなかなりませんでした。伝えたい5点の内容を入れ替えたり、言葉を変えたりと試行錯誤の末、面白くインパクトのある「いかのおすし」が誕生したのです。
 我が家では、「またお父さん、そういうダジャレを考えて」等と非難気味でした。しかし子どもたちの心にはしっかりと焼き付きました。この不審者対応の学習が全都で実施され、「いかのおすし」はメジャーの階段を駆け上がりました。当時悩んだのは、子どもたちに見せる「いかのおすし」の絵がモノクロなので、「たまごのお寿司」と間違われないかということでした。
 警察のネットワークを通して、「いかのおすし」全国に広まっていったようです。全国あちらこちらで「いかのおすし」を見かけるたびに、子どもたちの安全を守ってくれていると感じ、うれしく思っています。

有明教育芸術短期大学学長 若林彰

2019年09月27日(金) | トピックス